どこかの彼に支えられて
以前、このコラムで「点字の習得に随分苦労した」というお話を書きました。
そのとき、私が手に入れた大切な言葉があります。
『彼も人なり。我も人なり』です。
点字を読むのは本当に難しく、盲人の中でも、点字を使っている人は1割くらいだと聞きました。
「じゃあ、私にできなくても無理はないな」
そんなふうに、できない理由にしたくなったこともあります。
でも、1割の人は読めている。
世の中には、発明家や冒険家のように、誰もやったことのないことへ挑戦する人もいます。
それに比べれば、「すでにできている人がいる」ということは、私にもできる可能性があるということです。
きっと、その1割の人たちも、簡単にできたわけではないはずです。
苦労もし、何度も壁にぶつかり、それでも、あきらめなかったのでしょう。
だから私も、「できるはずだ」と自分に言い聞かせました。
その思いが、点字の厚い壁を少しずつ開き、道をつくってくれました。
この経験は、点字だけでなく、その後の色々な場面で、私を支えてくれています。
最近では、スマホがあります。
ボタンのないフラットな画面で文字を入力するのは、本当に苦労しました。
何度も、あきらめかけました。
でも、私の周りの盲人の友人たちは、スマホを使っています。
きっと、彼らも苦労したはずです。
「彼にできたなら、私にもできるはずだ」
そう思って続けているうちに、少しずつ使えるようになりました。
使えるようになったとき、私は子どもの頃、自転車に乗れた瞬間を思い出しました。
「これで遠くへ行ける」
歩くだけでは感じられなかった風。
景色が流れていく感覚。
胸が踊るような、あの嬉しさです。
このように、壁にぶつかったとき、私を支えてくれるのは、
「難しいと言っても、実際にやっている人がいるじゃないか」
という事実です。
『彼も人なり。我も人なり』
これからも、この言葉は、私を励まし、勇気を与え、力を注いでくれることでしょう。
前に歩いてくれた人。
お手本を見せてくれた人。
ありがとうございます。
あなたが道を開いてくれたから、私は頑張れます。
誰かが歩いてくれた道が、今の私を支えてくれています。
だから今度は、私も誰かの希望になれたらと思うのです。
コラムを書いた人
にしかめ まこと西亀 真
盲目のセラピスト・アイマスク講演家。「幸せの入り口屋」初代当主。広島県三原市生まれ。
百貨店でシステムエンジニアとして勤務後、難病「網膜色素変性症」を発症。視力を失う中でカウンセラー資格を取得し、産業カウンセラーとしても活動。現在は全国で講演活動を行い、「感謝と挑戦とあきらめない」をテーマに心を整えるメッセージを届けている。
はこちら
著書のご紹介
西亀真さんはこれまでに
2冊の著書を出版されています。
幸せの入り口屋いらっしゃいませ
盲導犬シエルと歩いた幸せの道

@manaby_honmachi
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