「すみません」がつないでくれた道
前回は、「47都道府県一人旅」を始める決意までをお話ししました。
今回は、その最初の一歩——名古屋での出来事です。
行き先は、私が住む隣の県、愛知県名古屋。
しかも「宿も目的地も決めない」という、自由な旅です。
出発前夜は、不安でほとんど眠れませんでした。
当日、近鉄特急に乗り、名古屋へ向かいます。
電車では駅員さんが丁寧に介助してくださるので安心です。
ところが、到着が近づいたとき、急に不安が押し寄せてきました。
「この先、どこへ行くと言えばいいんだろう……」
案の定、駅員さんに聞かれます。
「この先はどちらへ行かれますか?」
行き先は、決めていません。
とっさに私は、こう答えました。
「この近くに、100円均一ショップはありますか?」
「コンビニ」だと、すぐにゴールしてしまいそうなので、あえて少し難しそうな目的地にしました。
こうして、それが最初の目的地になりました。
方向を教えてもらい、歩き出します。
やがて壁にぶつかり、また声をかけます。
「すみませーん、すみませーん」
何人もの人に助けてもらいながら、少しずつ前に進みました。
そして、ついに目的の場所へ。
その瞬間、心の中で何かが変わりました。
「ああ、この先も、何とかなる」
たったそれだけのことですが、
私にとっては、とても大きな一歩でした。
その後も、思いつくままに街を歩き、
市役所や郵便局、そして名古屋城へと足を運びました。
途中で出会った一人のご婦人が、とても親切にしてくださいました。
翌日もわざわざ来てくださり、街を案内してくださったのです。
人のやさしさに包まれながら、私は無事に帰宅しました。
そして心の中で、こうつぶやきました。
「0を1にできた」
この小さな成功が、
「47都道府県、行ける」という自信になったのです。
「0を1にできた」
それは、私一人の力ではありませんでした。
「すみません」と声をかけるたびに、
手を差し伸べてくれた人たちがいたからです。
この旅は、人に支えられて進んでいく——
そのことを、私はこのとき知りました。
そして次の旅で、
その意味を、さらに深く知ることになります。
コラムを書いた人
にしかめ まこと西亀 真
盲目のセラピスト・アイマスク講演家。「幸せの入り口屋」初代当主。広島県三原市生まれ。
百貨店でシステムエンジニアとして勤務後、難病「網膜色素変性症」を発症。視力を失う中でカウンセラー資格を取得し、産業カウンセラーとしても活動。現在は全国で講演活動を行い、「感謝と挑戦とあきらめない」をテーマに心を整えるメッセージを届けている。
はこちら
著書のご紹介
西亀真さんはこれまでに
2冊の著書を出版されています。
幸せの入り口屋いらっしゃいませ
盲導犬シエルと歩いた幸せの道

@manaby_honmachi
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